旅行記⑧ 韓国ソウル2泊3日 ~極上タッカンマリ、トッポギ、そしてあかすり 大量生産される私たち~
家出を疑われる荷物を抱え、ファッションビルを後にした私たちは、同じく東大門にある、
その名も「タッカンマリ・ストリート」に向かいます。
お買い物天国イデでの散財記録は前回の記事を参照。
komachikokokoko.hatenablog.com
タッカンマリとはなんでも、「鶏一羽」という意味らしく、その名の通り鶏を丸ごと煮込んだあったかい鍋料理とのこと。
友人Eのお勧めは、東大門タッカンマリ・ストリートにあるこちらのお店でした。
店内は多くの韓国人で賑わっていて、銀色のテーブルに銀色のお鍋、イスとイスが触れ合うほどのぎゅぎゅっとした感じが、より一層雰囲気を高めていました。
メニューらしきメニューはなく、店員さんに「3人前ね」と言われるがまま、気づけば鶏とおネギとジャガイモ、トッポギの入ったお鍋が運ばれてきます。
水炊きのようなお鍋からは、鶏のダシとにんにく、しょうがの良い香りがしてきました。
あまりの良い香りに待ちきれず、まだかまだかと店員にアピール。
いやまだだと言う店員。
煮えたぎる鍋。
卓上で最強漬けダレをつくってけなげにも待つ我々。
<参考> 酢醤油、コチュジャン、にんにく、ニラの口臭破壊ダレ
そして、ついに、「もういいんじゃない?」的な店員の発言!
その一声をゴングとばかりに、ほっろほろぷっるぷるの鶏肉を、ひとたびタレにつけて食べると、もう意識が吹っ飛ぶほどの美味しさ!!!
スープの香りそのままに、鶏肉の上品な旨味がにんにく、しょうがとあいまって、このピリ辛ダレに合うこと合うこと。
おいしいおいしいと感嘆しつつ食べ進め、具がなくなったあとにはおうどんをイン!
最後は旨味たっぷりスープを存分に楽しみました。
日本の韓国料理屋ではなかなか「タッカンマリ」のワードを聞くことがないので、次に韓国に来た際は必ず再訪しようと、一口目から確信したお店でした。
この旅一番の感動とともにタッカンマリ・ストリートをあとにし、私たちは再び重い荷物を引きずって明洞へ帰ります。
明洞では本腰を入れて化粧品を物色。
顔は一つしかないのに様々な化粧品を試すあまり、最終的には思いもよらぬ前衛的な顔に仕上がりました。(あるある)
そんなこんなで時刻は夜8時ごろ。
これまで食べる・買うしかやってこなかったソウル旅行にて、唯一の体験型コーナーがやってまいりました。
それは韓国と言えば!の
【汗蒸幕/ハンジュンマク(韓国式サウナ)・アカスリ】です。
事前にネットで調べたこちらのお店が、サウナもアカスリも泥パックも盛沢山90分コースと、かなり生き急いだ内容でお得そうだったので、予約して行くことにしていました。
ネットの地図を頼りに向かうと、思った以上に繁華街のど真ん中。ビルの4階です。
ネットで予約していったものの、「何すかそれ?」みたいな反応の受付お姉さん。(あるある)
「まあいいやどうぞ」と通され、店内に入ります。(あるある)
カラオケ風の個室でしばし待機。入口で靴を脱いでいたので、完全にリラックスしていました。(「今日ここに泊まってもいいわ」などど言っていた)
15分ほどでベテランおばさま登場。日本語でペラペラと、今日のコースの流れを説明してくれます。
ネットで見てはいたものの、やっぱりやけに盛沢山だなぁと、90分に収まるのかしらと運営側の心配までしていた私たち。
甘かった。
この後私たちは、ベテランおばさまたち、いや、韓国の母と呼ぼう、韓国の母たちの華麗なるベルトコンベアさばきを目にすることになる。
そのベルトコンベアに乗るのは他ならぬ私たち自身ということも知らずに・・・
製造過程① 〈汗蒸幕〉
着替え部屋でワンピースタイプのサウナ用ウェアに着替え、いざサウナへ。
重厚な木の扉を開けると、そこには先客はおらず、ゴザが敷かれた異様に暑い空間が広がっていた。
思わず焦りだす友人Hと私をよそに、友人Eは余裕の表情。
部屋には窓がついており、窓の外からおばちゃんが砂時計をひっくり返せとジェスチャーしている。それに気づくやいなや光の速さで砂時計をひっくり返したのは私。
いったい何分の砂時計なんだと不安になりつつ、次第に滝のような汗が流れ始める。
かなりつらくなってきた、、、暑い、、、
そしてついに砂時計の砂が落ち切った!おばちゃん!見て!おい!
をい!!!背中向けてテレビ見てる場合じゃないよ!!!
やや半狂乱で思わず窓をコンコンすると、隣の砂時計をひっくり返せとのこと。
ウソだろ
いや〜並べてあった2つ目の砂時計が怪しいな~怖いな~とは思っていたものの、ベテランおばさまにNOとは言えない。再び光の速さで隣の砂時計をひっくり返す。
その後は、この部屋にまさかもう一個の砂時計がないか血眼で探しつつ、砂が落ちていくのを待つのみ。
今再びの最後の砂が落ちたところで、またもや背中を向けてテレビを見るおばちゃんに決死のアピール!!!
終わったよ、終わったんだよ~~~~~~!!!!!
ドアが開かれるとそこは天国のように涼しい世界。
滝のように汗となって流れた水分を取り返すごとく、給水機で水をごくごく飲んだ。
製造過程② 〈風呂〉
ひとしきり水を飲み終えたあとは、そのままの格好で上の階へ誘導される。
そこにはさっきのサウナおばちゃんとほぼ同じ風貌の風呂おばちゃんが待ち受けていた。
言われるがままにワンピースを脱ぎ(ないしはぎ取られ)、シャワーで各自汗を流す。
そして次は風呂に入れとのこと。
風呂に入ってみるとまあ熱湯ではないものの40度くらいか。さっきサウナにいたばかりだし、そ~んな長湯もしたくないなぁと出ようとした瞬間
「まだだめヨ!」 by風呂おばちゃん
ハッハイ!
なかなか人に風呂をまだ出てはいけぬなどとと言われたこともない。
そのあたりからだろうか、「サービス/おもてなし」というよりも、「しつけ」をされているような感覚をおぼえたのは。ここにいる全おばちゃんたち(同じ風貌)が、店員ではなく、異国の母たちに思えてきた。
製造過程③ 〈アカスリ〉
風呂の母から風呂を出ていいOKサインが出ると、流れるようにアカスリの母にバトンタッチ。(いったい何人の母がいるんだここは)
風呂の隣にはアカスリ用の台があり、そこにのれとのこと。
異様につるつるしている台に恐る恐る仰向けになる。もうどうにでもしてくれ。
早速アカスリタオルでごしごしされ始めると、そこで母たちを母たらしめる理由の一つが見つかった。
よくよく見てみれば、この風呂・アカスリゾーンにいる母たちは、全員同じ黒のスケスケブラジャー、へそまで覆うぽっこりお腹引き締め安心黒パンツを履いていたのだ。
何も自分の母のことを言っているわけではない、ただここにいる母たちの風貌が、もう「国民の母です!」と言わんばかりの、言い尽くせぬ安心感をまとっていた。
ブラジャーがスケスケである必要があったかは定かではないが、裸の自分が恥ずかしくないくらい、母たちもまるで銭湯の脱衣所ワンシーンさながらに、イオンで買った風下着を身に着けている。
ああ、私は母たちと銭湯に来ていただけなのか、と気づいてからは、ぽろぽろ落ちてくる垢(自主規制)も恥ではない。
お母さん、私、こんなに大きくなったよ、と異国の母に伝える気持ちで、言われるがまま台の上をころころ回転するのであった。
製造過程④ 〈泥塗り〉
アカスリの母に別れを告げ、シャワーで身体を流すと何やらもう次の母が待ち構えている。(いったいどれだけ母がいる・・・以下略)
次の母は泥パックの母だ。おもむろに顔、身体全体に緑の泥を塗りたくられ、そしてそのまま小部屋へイン。
先の体験から、母に押し込まれる部屋(サウナ)恐怖症となっていたが、これ幸い、今回の部屋はほんのり暖かい程度だった。
同じ工程を進んでいたものの久しぶりに友人に会ったような気がして、その友人たちは真緑色に変わり果てていた。
そしてついに小部屋からも出ていいといわれ、シャワーで泥を流し、半ば放心状態で全工程終了!!!
生まれたての新生児にまったく引けをとらない、異様につるつるしたボディを手に入れた。
・・・・・・・・・・・
あまりの効率重視流れ作業に、途中からベルトコンベアにのっている気分になり、最後はコンテナに詰められて出荷されると信じ切っていましたが、無事お金を払って解放されました。
ラグジュアリーなスパ体験を求める方にはおすすめではないものの、異国の地で母の温かみに触れたい方、はたまた工場で大量生産される製品のように次々と製造プロセスを経ていく体験をしたい方には、ぜひおすすめです!
激動のアカスリ体験が記憶に強く残りすぎて、その後のことはさらさらっとしか覚えていません。
翌日最終日はとどめの買い物と、トッポギのお鍋を食べに弘大/ホンデへ。
甘辛のタレの中に、トッポギ、チーズ、ソーセージ、魚のすりみ、野菜、ラーメン等々が入っていてとってもジャンキー!
おやつとごはんの間みたいで、とっても美味しかったです!
この後お昼過ぎの便で、私たちは韓国を後にしました。
買い物三昧であったのはさることながら、食べたもの全部が美味しかった韓国。
またピカピカお肌を手に入れるために、母たちに会いに行こうかしら・・・
さて、想像以上に最終話が長くなってしまいましたが、韓国旅行記はこれで終了。
そんなこんなで今度はハワイに行ってきたので、その記録をまた次回残していきたいと思います!